【元・上司採集隊シリーズ(桧枝岐篇2)】
あの…幻といわれる! 野生の巨大オオクワガタ♂を求めて!?
8月5日(土曜)
【AM3:15頃】トワイライト・ゾーンを抜けると、そこには自動販売機が
立ち並ぶ無人の店があった。早速、車を降りて周囲を調べてみる。「うん?」
足元に何かの昆虫がいる! 拾い上げてみると、オオゾウムシだった。先程は、
蛹の時でも強靭なアゴを動かす事が出来るという恐怖の噛み付き虫、ヘビトン
ボの成虫の死骸に出会うし…ここ(桧枝岐はまだまだ先であるが)はまさに!
昆虫天国だ。来てよかった。「おっ、メスが歩いている」…アカアシだった。

【AM3:20頃】山小屋があったので車を止める。「自動販売機は?」すぐ
前方に数台あった。虫達が逃げないよう、ゆっくり近付くと…「いたいた!」
ノコギリカミキリとノコギリクワガタ、それにコクワガタが落ちているので丁
寧に拾う。と、その時である! 前方から2人の男がぬぼぉっという足取りで
近付いて来た。一人は明るい懐中電灯で足元を照らしながらキョロキョロして
いる。…もう一人は? 「げげえっ!」コンビニで出会った日焼けした青年で
はないか! 「なんか捕れましたかぁ?」今回はささやくようではなく、はっ
きりした口調で話しかけて来た(やっぱりあんたら虫屋だったのかぁ、という
ような目をしながら…)。相手にしたくはない連中であったが、だからといっ
て無視して去って行くのもなんか嫌なので、「カブトとミヤマ、それにノコギ
リとアカアシとコクワが…あとスジクワも捕れましたね。あっ、このノコギリ
カミキリは観察したらすぐ逃しますよ」と答えると、青年は意味ありげな笑み
を浮かべながら、「ふ〜ん、なるほどねぇ」とつぶやいてその場から離れてい
った。「彼らもきっと、オオクワねらいだ!」デューク隊員は確信した。

【AM3:25頃】「ハマの走りを見せてやる!」レース経験があり、運動神
経抜群の元・上司(生まれも育ちも横浜)はハンドルを握りながらそう叫ぶと、
恐怖の峠攻めモードに入った。

【AM3:30頃】青年達の車が見えなくなってから5分位経ったので、元・
上司隊長は峠攻めモードを解除した。

【AM3:35頃】今まで良くしゃべっていた悪友(元・部下)隊員が全く口
を聞かない…でも起きている。変に感じ、「どうしたんだい?」と聞いて見る
と、悪友隊員はぐったりしながら、「車に酔った」と答えた。

【AM3:40頃】単調な景色(真夜中の為)、「本当にこれが国道かぁ?」
と驚いてしまうくらい狭い道幅、延々と続く道…とても辛い。もし、同乗者と
会話していなかったら今すぐにでも寝てしまいそうだ。ドライバーは睡魔と戦
いながら車を走らせる。道の真ん中で良くヘビやクワガタが轢かれている。

【AM3:50頃】初夏であれば、コルリクワガタが沢山捕れるポイントであ
る小沢平を通過する。時々、小さいテントが張ってあるのを見かけるが、彼ら
は虫屋なのだろうか? それとも釣りをしに来たのか? 我々には分からない。

【AM4:00頃】久々に自動販売機を見かけたので、車を降りて調べてみる
と、ミヤマクワガタがいた。車中で30分間休む(眠らない程度に)。

【AM5:00頃】出発する。朝日が美しい。        〔以下続く〕

虫飼いのつぶやき